【聖句】
かつてわたしは、
一本の杖を頼りに
このヨルダン川を渡りましたが、
今は二組の陣営を
持つまでになりました。
(旧約聖書・創世記32章11節)
【黙想】
後にイスラエル12部族の
祖となるヤコブ。
狡猾で、生ぬるく、
母とベッタリ。
それでいて秘めたる
野心もあり貪欲。
母と共謀して
兄エサウを出し抜き、
父イサクの祝福を奪い取るなど
彼の素性はお世辞にも
褒められたものでは
ありませんでした。
読者である我々は、
そんな男がイスラエルの祖にして
神の祝福のご計画を
担う器なのだろうかと
いぶかしく思うのです。
しかし主のご計画は
大変周到でした。
兄エサウに命を狙われたヤコブは
杖一本を手に逃亡の旅に出、
荒野を放浪して
母リベカの兄であり、
ヤコブにとって叔父にあたる
ラバンの家で生活することに
なりました。
叔父ラバンは、
大変貪欲でこの世的で、
私利私欲に生き、
ヤコブのことも
骨までしゃぶってやろうと
言わんばかりの男でした。
ヤコブはこのラバンによって
どんなにか傷つけられ、
苦労させられ
困らされたことでしょう。
ああもう!
この人さえいなければ!
という思いを禁じ得ない、
ヤコブにとっては
そんな存在だったと思います。
しかし、
この叔父ラバンこそ、
神がヤコブのために与えた
砥石のようなヤスリのような
人物だったのです。
ヤコブは実に20年間、
この叔父のもとで
砕かれ練られ、
削られ磨かれ、
祝福を受け継ぐ器へと
整えられ、
多くの財産を与えられたのでした。
兄弟姉妹。
ラバンなくしてヤコブなし、です。
神様はしばしば、
砥石のようなヤスリのような、
関わるほどに
傷が増えていくような、
交わるほどに
問題に巻き込まれるような、
そんな人を私たちの目の前に
お送りになるのです。
もう一度言います。
ラバンなくしてヤコブなし!
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