【聖句】
主よ、あなたでしたら、
わたしに命令して、
水の上を歩いて
そちらに行かせてください。
(新約聖書・マタイによる福音書14章28節)
【黙想】
これは主イエスの弟子のペトロが、
主イエスに言った言葉。
ガリラヤ湖で一晩中、
逆風に漕ぎ悩む弟子たち。
夜明け頃、
水の上を歩いて
弟子たちの舟に近づく主イエス。
その姿をぼんやりと見た弟子たちは
「幽霊だ」と取り乱す。
するとすかさず主イエスは、
「安心しなさい。
わたしだ。
恐れることはない。」
それが主イエスだと分かると、
弟子のペトロがとっさに言いました。
主よ、あなたでしたら、
わたしに命令して、
水の上を歩いて
そちらに行かせてください。
周囲の弟子たちや、
このエピソードを読む私たちも
このペトロの言葉を聞いて
何か突拍子もない、
何の脈絡もない、
よく分からない申し出だと感じます。
しかし、そうではないのです。
きっと主イエスは、
ペトロのこの申し出、
この祈りを聞いて、
とてもうれしかったと思います。
福音書の前後の箇所をつぶさに読んでいくと、
このときの主イエスが
弟子たちに対して望んでいることは、
彼らがただ主イエスの後を
ついていくだけの存在であることから脱皮して、
彼が主イエスと同じように、
師である主イエスと同じことを行うようになることでした。
ところが弟子たちはその主の思いが分からない。
だからいつも、
主イエスが望まれることとは
ズレたことを言ったり、
したりしはじめます。
この直前に記されている、
五千人にパンと魚を分かち与えるという場面でもそうでした。
しかし、今、
ペトロだけが、
何か大切なことを掴み始めている。
気づき始めている。
そしてあの日、
夜明けの海でペトロは、
それまで申し出たことのないことを、
主イエスに申し出たのです。
主よ、あなたでしたら、
わたしに命令して、
水の上を歩いて
そちらに行かせてください。
これはとどのつまり、
「主よ、わたしは
あなたと同じことをしたいのです。
あなたが助けてくだされば、
わたしもあなたと同じようにできるのです!」
という申し出に他なりません。
そしてこれこそまさに、
主イエスが弟子たちに望んでいたことだったのです。
それゆえ主イエスは、
きっと驚きと喜びのうちに手を差し伸べ、
ペトロに一言、おっしゃった。
「来なさい。」
そしてペトロは踏み出していく。
不可能の海に。
しかし、主イエスの言葉を信じて。
主イエスの願いと、
ペトロの願いが一つに重なる。
そこに新しい道が開かれていくのです。
【小さな祈り】
主よ、
あの日ペトロに
「来なさい」とおっしゃった
あなたの御顔に、
喜びがあるのを見いだします。
「イエスさまとおんなじことなんてできっこない」
「イエスさまのように私もしたいなんておこがましい」
・・・こんな思いが渦巻いていますが、
どうかわたしにも、
「主よ、水の上を歩かせてください」
「主よ、あなたのようになりたいです」と
祈ることを得させてください。
主が望んでおられることの
大きさと広さに気づかせてください。
・
・
*あなたの言葉で祈りましょう。
・
・
アーメン。
コメント